深浦康市:これが最前線だ!最新定跡完全ガイド

藤井システムはシリーズ最新刊まで登場
この本の詳細をAmazonで見る

評価:A
対象者:5級〜六段
発売日:1999年4月

四間飛車・三間飛車・矢倉・横歩取り・角換わり腰掛け銀、他プロ棋戦で頻出度の高い局面をテーマにして、以降の最新定跡(1999年当時)をそこに至るまでの試行錯誤を交えて詳しく解説した総合定跡書です。
2008年現在、続編として「最前線物語」、「最前線物語2」が刊行されています。

235ページ、見開きに局面図が4枚の全三部構成になっています。

第一部『これが振り飛車最前線だ』
山田定跡・斜め棒銀・4五歩早仕掛け・藤井システム(対左美濃・居飛車穴熊)・相穴熊・四間飛車穴熊vs銀冠・向かい飛車・三間飛車・ゴキゲン中飛車・立石流・他

第二部『これが矢倉最前線だ』
3五歩早仕掛け・スズメ刺し・郷田流3八飛戦法・森下システム物語・3七銀戦法・8四歩&9五歩型・9五歩&7三桂型・脇システム・矢倉中飛車・他

第三部『これが居飛車最前線だ』
角換わり腰掛け銀全般・相横歩取り・横歩取り3三桂戦法・8五飛型・相掛かり・ひねり飛車対策・他

本書はプロの実戦に基づいて年代順に書かれていますので、どういう変化が潰れ、何が生き残って現在に至っているかが、非常にわかりやすい内容になっています。

手順の解説でいくつか似たような形が出てきたら、変化した手(=前の局面と違う手)の横に太字で『・・・』と強調されていますので、頭の中で整理しやすいです。

非常に多くの戦法を採り上げていますが、限られた項数のなかでみっちりと定跡解説がなされていますので、変化が浅いということはありません。

ただ、テーマ図に至るまでの手順(初手〜25手前後)が全く記されてありませんので、若干の定跡予備知識がないとしんどいかもしれません。

各戦法のメインとなる定跡を、辞書的に即調べられる構成になっていながら、辞書的(無機質)な感じが全くしないのは、深浦八段の筆力の賜物でしょう。

テレビ将棋・24の高段者対局の観戦時に手元においておくのも、いい勉強になると思います。