中飛車道場(第4巻) 6四銀・ツノ銀

最新の矢倉流に加え、懐かしの風車戦法も解説
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評価:B
対象者:5級〜三段
発売日:2004年7月

ゴキゲン中飛車を3冊続けて出し、事実上の終了宣言をした「中飛車道場シリーズ」だったが、堂々と4巻目を出版(笑)。流石に体裁が悪いのか、本巻の後書きで『無節操にも前言撤回、第四巻をお届けできることとなった。』とあります。

今回の「中飛車道場」で取り上げるメインテーマは、前3冊とはうって変わって△6四銀型中飛車。私の記憶が正しければ、この形を連採し始めたのは関西の矢倉五段で、最近では佐藤(康)vs森内の王将戦という桧舞台にも登場しています。

具体的に言うと中飛車側が左側の銀を△5三〜6四銀と積極的に繰り出し、居飛車に▲6六銀と角道を止めさせる形を指します。

そこで振り飛車側は@△4五歩と角道を空けて、次の△4二飛からダイナミックに捌きを狙う。A(△4五歩に変えて)△9二香から相穴熊にしてじっくりと指す、の2つの選択肢が、それぞれ第一章・第二章で東大将棋ブックスらしく、深く掘り下げられています。

矢倉流

この戦形の売りは、振り飛車でありながら自分からグイグイと主導権を握って局面を進められる点(特に@の△4五歩以下の変化)ですので、初めて指す人も取っ付きやすいと思います。

プロの公式戦で現れた「矢倉流」の変遷は、「最前線物語2」のP118〜123でも詳しく解説されていますので、お手元にある方はそちらも参考にしてみてください。

第三章ではオーソドックスなツノ銀中飛車、第四章では風車戦法(懐かしい・・・)が解説されてあり、従来のシリーズに比べて、少しおまけ的なお得感があります。

ゴキゲン中飛車を指しまくって、そろそろ違う形で気分転換したい方、左の金を△3二ではなく右に持っていき、王様をガッチリ囲って積極的な指し回しがしたい方には、なかなかの一冊だと思います。

後書きの最後の一文に『好評を頂いた中飛車道場だが、今度こそ正真正銘のお休みをいただくこととなる』とありますが、さて?(笑)