中飛車マスター 定跡百科ワークブック Vol.5

居飛車の立場で考える問題も出題されます
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評価:C
対象者:5級〜三段
発売日:1992年4月

本書は、以前レビューした「大内延介:中飛車ガイド 定跡百科 Vol.5」の姉妹書にあたり、そちらで学んだ中飛車の定跡を「次の一手」形式の問題で復習していくワークブックです。

全204ページ、1問につき解答ページは1ページ(盤面図が2枚)となっています。問題図の下には正解となるヒントが3行ほどと、A〜Cの難易度が掲載されています。

第1問〜第9問 ▲4五歩早仕掛け
第10問〜第42問 ▲3八飛戦法
第43問〜第46問 急戦中飛車
第47問〜第62問 ▲4六金戦法
第63問〜第68問 玉頭位取り
第69問〜第83問 左美濃
第84問〜第100問 その他の中飛車

その他の中飛車 第86問より:図は▲1六歩まで
なんだかゴキゲン中飛車で出てきそうな局面ですが、居飛車の立場に立って▲1六歩の暖手を咎めにいきます。正解は△7四銀で、次の△6五銀と△8五銀(飛車先の歩を8四で保留した効果)の両方を狙っています。△7四銀に▲6六歩(△8五銀に▲6七銀で受ける)で受かっていそうですが、以下△6二飛▲6八飛△1三角で先手が困ります。上図の▲1六歩では▲6八金が手堅かったです。

この△7四銀は対ゴキゲン中飛車の森下流に通じる銀出ですが、最初に指したのは奨励会時代の屋敷九段(当時は二段)だそうです。相手はゴキゲンの生みの親の近藤六段で、「初見の局面でよくあんな筋悪そうな手(7四は歩を突いて桂馬を跳ねるスペースと普通は考える)を指せるな」と感心したそうです。

出題元である「中飛車ガイド」のテーマとなっている戦法が古いので、定跡の復習と言うよりは、普通の次の一手として読んだほうがためになるでしょう。

上図の問題のように、中飛車側が悪手を指した状態の局面において、居飛車の立場でとがめるといった趣向を凝らした出題もありますので飽きません。

そこそこ面白く読み進めることができますが、既に絶版となっていますので、入手は困難です。