勝つための受け−積極果敢な「受けの達人」になろう!

意外と受けの本は少ないですね
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評価:C
対象者:11級〜5級
発売日:2000年5月

我々アマチュアは受けよりも攻めを好む人がほとんどで、受けの勉強はどうしてもおろそかになりがちな傾向があります。そういった方を対象に、受けの手筋をまとめたのが本書です。

内容は…@受けの基礎知識、A受けの手筋、B戦型別無理攻めの咎め方、C受けの実戦集の4章で構成されています。

位を安定させられる前に動きます

図は△6三金まで
次に△7四金と位を確保されると先手としては作戦負けですので、ここで動きます。まず▲7六歩と合わせて△同歩に▲7五歩と逆に位を取りに行くのが正解です。次に▲7六金と歩をはらってしまえば7筋の勢力は逆転します。▲7五歩に対して△7七歩成▲同金寄△7四歩と後手も同様に合わせてくれば、▲同歩△同金(△同銀は▲7五歩△同銀▲7六歩で銀が死ぬ)▲7六歩としておけば、7五に打ち込むキズが後手陣に生じます。

基本的な受けの手筋は掲載されているので、読み通せば受けの力は上がると思います。第四章の受けの実戦集は、プロの受けの手筋と感覚が解説されていて、なかなかいいです。

ただ、第三章の、戦型別無理攻めの咎め方の部分は、中途半端な定跡講座という感じを否めず、あまり読んでも役に立たないと思います。普通に定跡書を読んでいれば、この部分は必要ないでしょう。

また、この出版社(主婦と生活社)の本は盤面図に配置されている駒を「金」ではなく「金将」と二文字で、しかも菱湖という実際の駒で使われる達筆な書体で表記しているので、とにかく読みにくいのが難点です。

この本は、受けの手筋を勉強してみたい級位者の方向けの本だと思います。手筋の部分に関しては、知っていて損のない内容が書かれていますので、基礎から学びたい型には、得るものがあると思います。

追記:受けの本はあまり刊行されていませんでしたが、2006年に出版された「中村修:不思議流受けのヒント」は、本書よりも内容が充実しているのでオススメです。