高橋道雄:将棋手筋の教科書 銀・金・角・飛編

寄せに関するテーマが少ないのが残念
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評価:B
対象者:10級〜3級
発売日:2007年1月

前巻「手筋の教科書 歩・香・桂編」では小駒が主役でしたが、本巻でテーマになっているのは、銀・金・角・飛の主役クラスの駒たちの手筋です。

構成は前巻と同じで、部分図で基本手筋→実戦図で応用手筋を解説するという流れになっています。ページ数が206ページとやや減っているものの、練習問題は逆に10問増えていますので、1つの駒に用意されている手筋の数は少なくなっています。

第1部 銀の手筋
棒銀 / 対棒銀受けの銀引き / 立て直しの銀 / 不成の銀 / 割り打ちの銀…ほか
第2部 金の手筋
角頭の守り / 玉の守り / 下段金 / 受け勝つ金打ち / 送りの手筋…ほか
第3部 角の手筋
角筋を生かした攻め / 自陣角 / 端角 / 詰みの角 / 合わせ角…ほか
第4部 飛の手筋
居飛車の心得 / 振り飛車の心得 / 十字飛車 / 雀刺し / 地下鉄飛車…ほか
練習問題(40問)

第1部 銀の手筋 「一手を稼ぐ銀捨て」より:図は△7七成香まで
後手玉には詰みがなく、先手玉は受けなしに見えるこの局面。ネット将棋なら「投了ボタン」にマウスのポインタがフラフラと行ってしまいそうですが、ここでは▲7九銀とするのが渾身の一手です。

△同金は先手玉への詰めろが消えますので、▲7二馬と飛車を取ってしまえば先手の勝ちとなります。また△8八銀にも、構わず▲7八銀と金を取れば、次に▲2二金の一手詰めがありますので先手の勝ちとなります。

終盤は文字通りの「一手違い」で勝敗が決しますので、捨て駒によって一手を稼ぐ受けのパターンをいくつか覚えておけば、必ず役に立つでしょう。

大駒の解説ページでは「両取り」や「二枚飛車」などの派手な手から、「自陣角」や「自陣飛車」のような知らないと指しにくい手筋までが幅広く掲載されています。

全般的には中盤あたりの局面図をテーマにした手筋が多く、寄せに関するものが少ないのが少し残念です。また1巻も含めて、駒の特性を生かした必至の掛け方についてのページがほぼ皆無なのも気になりました。

シリーズ最終巻となる「将棋手筋の教科書 囲いの崩し方編」では、美濃囲い・銀冠・舟囲いなどの代表的な囲いの効率的な崩し方を勉強していきます。結論から言うと、第3巻が一番ためになるでしょう。