眠れない夜に解く四段次の一手

最難関レベルの問題集
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評価:C
対象者:初段〜三段
発売日:2003年12月

「週刊将棋」の段級位認定コースの問題(1998年11月〜2001年8月分)から四・五段クラスの良問を厳選して単行本化。「休日の午後に解く三段次の一手」に続く本書はシリーズ最終巻となります。

従来は初段・二段・三段と一つの段位を対象としていましたが、五段レベルの問題も混在しており、全110問中、ヒント無しで70%以上の正解率で四段が、90%以上の正解率で五段の棋力が保証できると前書きに書いてあります。5段階の難易度の表示とヒントが掲載されているスタイルはこれまでと同様です。

腹銀で一発で受け無しに

第36問より:図は△5二金まで
豊富な持ち駒の割には一見すると寄りがなさそうなこの局面。習いある「あの手筋」で受け無しにしましょう。

ここでは▲1二銀のいわゆる「腹銀」の一手で後手玉は受け無しとなります。対して@△同香は▲2三飛成以下の詰み。A△2三金は▲同銀成り以下、清算して詰み。B△9七角成▲同香△1二香と玉の逃げ道を開拓するのも▲2三飛成以下、先手勝ちとなります。

連続捨て駒が読めるか

第82問より:図は△4三銀まで
「飛車が縦横に利いているここがチャンス」とヒントにありましたが、僕は全然わかりませんでした。

正解は▲3一角です。対して@△同金は▲1三金△同玉(△同桂は▲1一飛△同玉▲3一飛成以下詰み)▲1四飛△2二玉▲1二飛打以下の詰みとなります。

またA△2二桂と受けるのも、▲1三飛△同玉(△同桂は▲2二角成△同玉▲1四桂以下詰み)▲1四飛△同玉▲1五歩以下の詰みとなります。

ネット将棋の30秒や60秒の秒読みで、この2問目の正解手以降の変化を全部読み切れれば、アマ四・五段を通り越して余裕でアマ六段以上ではないでしょうか?

角不成で自玉を「打ち歩詰め」に誘導して凌ぐ筋、盲点への大駒ただ捨てなどの問題が随所に登場。正解手に対する後手の応手も厄介な変化が多く、最難関レベルに相応しい一冊です。

本シリーズは10年以上前のものですので、既に入手困難となっていますが、専門誌「将棋世界」における「段位認定コース」の問題が2009年より刊行されています。

中・終盤の問題を中心とした本シリーズと異なり、そちらの方は序・中・終盤の全ての局面から問題が出されているうえ、解説がより丁寧なのでオススメです。本書と同じレベルなら「将棋世界BOOKS 四段コース問題集」がピッタリでしょう。