二段の力(週将ブックス)

選択肢はなくヒントのみを掲載
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評価:C
対象者:5級〜初段
発売日:2007年12月

「週刊将棋」に連載されている「段・級位認定 次の一手」のなかから二段クラスの問題を「寄せ」「凌ぎ」「中盤」に分類してまとめた問題集です。棋力的には「初段の力」の続きとなりますが、発売は本書のほうが1年先となっています。

「初段の力」では問題図の候補手が3つ示されていましたが、本書では代わりに問題を解く上での簡単なヒントのみが掲載されています。他の点はこれまでと同様ですので、レビューは前巻の紹介ページを参考にしていただければと思います。

全222ページの3章構成で、106問を出題。目次は以下の通りです。

第1章 寄せの手筋(第1〜54問)
第2章 凌ぎの手筋(第55〜90問)
第3章 中盤の手筋(第91〜106問)

退路封鎖の捨て駒があります

第1章 寄せの手筋 第12問より:図は△3三同馬まで
先手玉は銀を渡すと△7九銀から即詰みが生じますが、ここでは取ると即詰みが生じる▲3五銀が正解です。

対して@△3五同歩は▲2四歩△同玉(△同馬は▲3二飛△1三玉▲2五桂△同馬▲2三金で詰み)▲2二飛成△同馬に▲3四金で詰みとなります。またA△4二歩と受けるのも▲2四金△2二玉に▲3三金以下の詰みがあります。

難問です

第2章 凌ぎの手筋 第67問より:図は△4三同金右まで
平凡な▲2三銀などでは△同金▲4三馬の瞬間に△6九龍▲8八玉△7九銀▲9八玉△7八龍▲8八金に△8六桂と打たれて以下即詰みに討ち取られてしまいます。

ここでは▲3一銀が正解となります。対して@△同飛は▲1三銀△同玉▲3一角成△2二桂(△2二銀は▲2四馬から詰み)に▲3二馬で先手勝勢となります。またA△3一同金は▲2三金から、B△1三玉も▲2二銀から詰みとなります。

正解手で桂合を強要して△8六桂のトン死筋を消すのがポイントですが、これは変化手順も含めて完全な高段者クラスの問題では?

「初段の力」に比べると「凌ぎの手筋」の問題がかなり増えています。難易度が上がるのは当然ですが、なかには「これは本当に二段レベルなの?」という問題もチラホラと見受けられます。

上図の2番目の問題は「駒を渡しても桂合を強要することで自玉のトン死筋を消す」というなんとも高等なテクニックが要求されていますが、応募者の正解率は65%とかなり高いです。この数字を見て自分の棋力に自信がなくなってきました(笑)

さらにワンランク上を目指す方には「三段の力」が待っていますので、そちらもチェックしてみてください。