お昼休みに解く初段次の一手

級位者を対象とした易しい問題
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評価:C
対象者:8級〜3級
発売日:2003年9月

タブロイド専門紙「週刊将棋」内の段級位認定コースに掲載(1999年9月〜2001年10月)された「次の一手」形式の問題の中から、初段コースのものを1冊にまとめたものです。

このシリーズは四段クラスの難問をまとめた最終巻まで計4冊刊行されましたが、本書は一番易しいレベルになっています。

全222ページで全106問を掲載。1ページにつき出題は1問で、問題図の下には難易度(★印による5段階)と問題を解く上でのヒントが記されています。

対銀冠ではよくある狙い筋です

第54問より(難易度は★:図は△4二玉まで
双方の飛車の間に駒がある場合は技をかけたり、かけられたりと様々な筋に注意しなければなりません。一見ピンチのこの局面も先手に好手があります。

正解は▲4五桂です。対して@△同歩は▲3三角成△同玉▲6九飛成で龍を素抜いて先手勝ち、A△6六桂は▲3三桂成△同玉(それ以外は詰み)に▲4二角あるいは▲2一飛成で先手勝勢、B△3一金打も▲3三桂成△同桂に▲4二金で先手勝勢となります。

受け無しに追い込む

第54問より(難易度は★★★):図は△2二金まで
先手玉は安全で持ち駒も豊富ですが、ここで正確に寄せないと逆転を許してしまいます。

ここでの正解は▲1二金です。対して@△同金は▲3二金、A△3一玉も▲4二金の一手詰めなので△同玉の一手ですが、そこで▲2四桂△同歩▲2三歩とすれば先手勝勢です。「金は斜めに誘え」の好例ですね。

序盤の問題は全く登場せず、中・終盤で局面を優勢に導く、あるいは勝ちを決定付ける手が求められています。「詰めろ逃れの詰めろ」など自玉の危険度を読む問題も登場しますが、変化手順は易しいため、初段に近いレベルの方には難問と感じるものはないでしょう。

ただし、上で掲載した2番目の問題のような筋を実戦でビシバシ決めることが出来るようになるには、多分三〜四段クラスの力が必要だと思います。

本書はごく一般的な「次の一手」本ですので、棋力向上というよりはちょっとした「腕試し」の感覚で、暇な時間に気軽に読むのがいいのではないでしょうか?

なおシリーズ次巻は「電車の中で解く二段次の一手」となっています。