勝てる将棋格言36−プロの実戦に学ぶ妙手

問題の局面から直ぐに格言が出ない構成に難あり
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評価:B
対象者:5級〜二段
発売日:2003年8月

本書は将棋の格言の中から、知っていれば実戦で役立つ重要度の高いものを36ほどピックアップし、プロの実戦譜を例に挙げて解説したものです。

内容は…
第一章 歩の格言(歩のない将棋は負け将棋・金底の歩岩より堅し、など)
第二章 金・銀・桂・香の格言(下段の香に力あり・田楽の香に力あり、など)
第三章 飛・角の格言(遠見の角に妙手あり・振り飛車には角交換、など)
第四章 玉の格言(玉飛接近すべからず・桂頭の玉寄せにくし、など)
第五章 その他の格言(両取り逃げるべからず・敵の打ちたいところへ打て、など)
となっています。その他にコラムが、各章末についています。

1つの格言にプロの実戦を3つほど例に挙げて、その格言の重要性を解説するという形式です。

確かに厳選して選んだ格言だけあって、ほとんど耳にしたことのあるものばかりです。1つの格言にかなりのページを割いているため、かなり中身の濃い内容になっています。じっくり読めば、格言と実戦の関係がよく理解できるでしょう。

ただ、私の率直な感想ですが、ちょっと凝りすぎな内容ではないかと思います。

最初の局面図では格言例は出てこずに、そこから数手進んでやっと格言の局面が出てくるような内容なので、盤と駒を使わないと級位者には難しい気がします。

本を読みながら頭の中で何手か進めて、そこでやっと出てきた格言の局面を理解して、その結果どうなったかをさらに数手進めて確認する。このやり方では、有段者以外には正直敷居が高そうです。

かといって、有段者レベルの人がここまで念入りに1つの格言を学ぶ必要があるのでしょうか?それも正直疑問なところです。

内容的には確かに勉強になる部分も多いのですが、将棋の格言を実戦にどう活かすか?ということを学べば良いのですから、ここまで難しい内容にする必要はないと思います。どのレベルの読者を対象にしているのかが、正直掴みづらい本となっています。

私的には格言の本であれば、以前レビューした『役に立つ将棋の格言99−見開き完結』の方をオススメします。評価はBですが、必要性という点ではCに近い、というのが私の評価です。(投稿:Shigekun二段)