将棋・端攻め全集−破壊力抜群の必勝手筋

「囲いの崩し方」を学びたい方には少し不満かもしれません
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評価:C
対象者:12級〜5級
発売日:1998年2月

本書は将棋上達に必要なさまざまな手筋の中から、「端攻め」だけに焦点を絞り解説したちょっと特殊な手筋習得本です。

222ページ、見開きに局面図画4枚の全3章構成です。

第一章 端攻めの基本

第二章 各戦法にみる端攻め
1 居飛車対振り飛車
2 矢倉(雀刺し)
3 棒銀
4 角換わり腰掛銀
5 その他の戦法

第三章 実戦における端攻め

第一章では▲1五歩△同歩から端を連打し香車を吊り上げ→@▲2四歩からの十字飛車 A▲2五桂 B▲1二銀から▲2三銀成以下龍作り C▲1二歩の垂れ歩、などの端攻めにおける基本中の基本を解説。

第二章は第一章で紹介された基本手筋が、定跡ではどのように応用されているかを、各戦法ごとに解説しています。ただ、カバーされている戦法の範疇が狭く中盤の仕掛けあたりが中心となっていますので、終盤での端攻めを利用した「囲いの崩し方」を学びたい方には少し不満かもしれません。

第三章は著者である大内九段や羽生王座他、プロの実戦から端攻めにまつわる局面を12題ピックアップ。

他のレビューでも書いたのですが、必修手筋の習得本は反復練習する問題量が豊富であることが望ましいのですが(レベル別になっていればなお良し)、本書は残念ながら各章とも中途半端な感じがします。

いっそのこと定跡中心の第二章をなくして、その分を基本手筋問題数の上乗せや囲いの崩し方に回し、「端攻めのパターン化」に徹底した作りにした方が本書のタイトルに相応しいものになったでしょう。

ただ端攻めに特化した本は他に無いので、「攻め方がまったくわからない」、「端を攻めたつもりが何故か逆襲される羽目になる」という方はチョロチョロっと目を通しておけば勉強になるところがあると思います。

端攻めの手筋集は「将棋・ひと目の端攻め 攻防の手順がわかる200問」の方が、囲い別の手筋が充実しており参考になるでしょう。また、居飛車党で上級者の方には「美濃崩し180(絶版)」などがオススメです。