羽生善治の必殺の一手100―羽生マジック傑作選

登場した100局の棋譜も掲載
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評価:B
対象者:3級〜五段
発売日:2003年2月

竜王位奪還を果たした平成13年11月30日の竜王戦第五局をはじめ、羽生五冠(当時)の実戦譜100局から中・終盤の決め手を「次の一手」形式の問題で学習する本書は「羽生善治の入魂の一手100 前人未到の七冠獲得へ」に続くシリーズ第3弾となります。

問題のページには「問題図」だけでなく、そこに至るまでの重要な局面を「参考図」として掲載し、参考図からどのような手を指して羽生五冠が流れを引き寄せたのかを「決め手の背景」と題して実際の手順と共に解説してあります。

つまり、問題を解く前にもミニ講座が用意されている形となっていますので、100問+ミニ講座100局分という構成ですので、内容は非常に濃いものとなっています。

また、解答のページでも「解答図」と解説のほか、投了に至るまでの手順を「投了図」を交えて掲載している点もわかりやすいです。

巻末には「次の一手」問題で登場した将棋の棋譜が全100局分掲載されており、問題図の上には「実戦譜は○×ページ」と明記してありますので、該当する棋譜を直ぐに並べることができます。

価格も1400円と内容の割にはお手ごろですので、本シリーズをこれまで読んできて満足している方にとっては、本巻も読み応えのあるものとなるでしょう。

最後に掲載されている問題を2題掲載しておきますので、お時間のある方は腕試しにチャレンジしてみてください。

手拍子で角を取ってはいけません

第16問 ▲羽生四冠 △鈴木七段より 図は△6五角まで
7八の飛車が後手玉を睨んでいるので、▲6五同銀とタダで角が取れそうですが、以下△5五桂▲6六金△8八歩成▲7六飛△8三歩で優勢ながらも結構大変な勝負になります。

ここでは落ち着いて▲7四歩とするのが正解です。以下△7七歩▲7三歩成△同銀▲7七飛△7六歩▲7三銀成△同金▲7六金△4三角に▲6五桂(好手)から先手の勝ちとなりました。

創作次の一手のような鬼手があります

第75問 ▲羽生五冠 △中村八段より 図は△6三同銀まで
ここでは作ったような▲4一飛がありました。対して@△同飛は▲6三角成が飛車取りですので、実戦はA△5一歩としましたが以下▲同飛成△同飛▲6三角成△7五飛▲7六銀△7四飛▲8一馬△同飛▲7二銀から先手勝ちとなりました。