振り飛車ワールド(’04 第2巻)

千葉五段の講座では右銀急戦に対する小阪流を解説
この本の詳細をAmazonで見る

評価:A
対象者:11級〜四段
発売日:2004年3月

振り飛車ワールドもいよいよ第8弾です。棋書としては、かなりのロングランシリーズですね。

内容は…
@巻頭インタビュー(中原誠永世十段)
A所司一門のガチンコ指定局面戦(題材:対藤井システム急戦・対藤井システム)
B振り飛車党列伝(中田功六段)
C講座 どんどん攻める石田流(鈴木大介八段)
D自戦記 さばきの極意(久保利明八段)
E将棋エッセー(安食総子女流初段・坂東香菜子女流2級ほか)
F講座 後手番右銀急戦の攻防(千葉幸生五段)
G講座 符号で見る振り飛車の手筋(石川陽生六段)
H読み物・定跡信ずべし、信ずべからず
となっています。

今回、私にとって一番役に立ったのが千葉五段の講座です。後手番四間飛車の右銀急戦対策が解説されているのですが、現在四間側の最有力手といわれる小坂流が題材にあがっていました。

私はこの対策は知らなかったので、ここで勉強してかなり実際の対局でも役に立ちました(将棋道場で結構勝ち星を稼げました)。

なお、今現在はさらに定跡が進化して、若干古い内容となっています(近代将棋8月号の村山四段の講座に、さらに詳しい内容が出ています)。

今回のガチンコ指定局面戦では、特選指定局面戦として第61期名人戦第三局(森内俊之名人対羽生善治挑戦者)で現れた対藤井システム急戦形(▲3六歩〜▲3五歩と仕掛ける形)が採り上げられています。

残りの2つの指定局面戦も対藤井システムです。後手が中飛車に変化する形や早囲いから居飛車穴熊にする形、居飛車穴熊にこだわらずに▲7八玉と寄る形などが研究されています。

巻頭インタビューでは中原誠永世十段が、大山康晴十五世名人との対局などを回顧しながら、振り飛車について語っています。

このインタビューの中で「読みは間違ってなければ三手でいい。本筋をとらえて読んで、その判断が間違ってなければいい」というコメントがありました。これは、先日お亡くなりになった原田九段の「三手の読み」に通ずるものがありますね。

その他、石川六段や鈴木八段の講座、久保さんの自戦記、安食女流や坂東女流のエッセイなど、相変わらずの豪華な内容になっています。(投稿:Shigekun二段)